『稲荷の独習数学』の内容と利用法

『稲荷の独習数学』の内容と利用法 数学参考書

『稲荷の独習数学』は数学ⅠA~Ⅲまでの全分野を、著者独自の理論で配列した独習者向けの参考書です。これ一冊で高校数学の内容と発展事項を一気に学ぶことができます。著者の稲荷誠さんは京都で数学専門塾を開いていらっしゃる方です。

「はじめに」でも著者自身が書いている通り、問題数は最小限に抑えられているので演習量の不足は他の問題集などで補う必要がありますが、数学が好きな人にとっては好奇心をそそられるような内容になっています。

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内容

全12章・600ページ弱に高校数学3年分の内容が凝縮されています。一部では高校の範囲を超えた内容も取り扱われているため、数学が好きな人や一通りの学習を終え高校数学を別の視点から概観したい人には適していると言えるでしょう。

基本事項の解説は丁寧にされていますし、「例題」という形で発展的な内容も取り扱われています。「例題」や「演習」の解説は非常に丁寧なので、独習者でもあまり躓くことはないでしょう。難関大志望者が知っておきたい「チェビシェフの不等式」や「正射影」についてもしっかり扱われています。

上述のように、1冊で高校数学の内容をすべて扱っているため、問題数はかなり少なくなっています。演習量は他の問題集を活用しましょう。配列は独特ですが、概ね「ⅠA⇒ⅡB⇒Ⅲ」という流れで進んで行きます。

基本的に理系向け(あるいは数学が得意で数Ⅲまで勉強しておきたい文系)に書かれている点には注意が必要です。また、あくまで「独習用」であって、学校の授業と並行して使用したい人というには不向きだと思います。分野によっては記述がやや薄いと思われるところもありますので、そうした点は網羅形参考書などで補いながら学習を進めるといいでしょう。

取り組む時期

数学を得意とする中2~高2生が、本格的な受験準備に入る前に先取り学習もかねて受験数学までの流れをざっと見るために用いるといいでしょう。学校での学習順序とは異なる配列になっているので、授業と並行して使う場合には注意が必要です。

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