『理解しやすい数学』は、初学者・独学者が教科書レベルの基本事項から入試の基礎レベルまでを一通り学習するのに適した網羅形参考書です。
著者の藤田宏さんは研文書院から出版されていた『大学への数学』(いわゆる黒大数)の執筆者として知られています。黒大数は東京出版から出ている『大学への数学』とは異なり、以前は難関大学受験生にとって定番だった網羅形参考書です。
内容
例題は「基本」、「標準」、「発展」、「研究」の4段階に分かれています。他の網羅形参考書にあるような難易度の表示はありません。定期試験対策をしたい人は「標準」まで、入試対策をしたい人は「発展」や「研究」までを目安に取り組むといいでしょう。
定期試験対策のために使用する人にとって特に役立つのは、節末の練習問題の前にある「テスト直前要点チェック」です。問題のレベルとしては教科書の節末問題とほぼ同じですから、定期試験前や教科書傍用問題集の問題を解き終えた後の最終チェックのために用いるといいでしょう。
教科書には載っていない、あるいは発展的内容扱いになっている内容は「研究」で扱われています。大学入試を視野に入れながら学校の勉強を進めたい人は、「研究」にも一通り目を通しておくといいかもしれません。より深く学びたい人には、数学的に興味深い問題が取り扱われている最終章の「探求と展望」がおすすめです。
どちらかといえば、数学が苦手な人向けに丁寧に解説を展開するというより数学が好き、あるいは得意な人向けの参考書です。問題によっては解説がシンプルなものもありますので、数学が苦手な人はまず『高校これでわかる数学』などに取り組んだ方が効果的でしょう。また、説明自体は非常に明快に書かれているのですが、読解のために少々国語力を要する部分もありますのでその点は注意が必要です。
取り組む時期
数学が好き、あるいは得意な人は学校の授業と並行して利用すれば、定期試験対策や大学入試を見据えた早期の基礎固めが行えます。
苦手な人も、定期試験対策として割り切って使用するのであれば有効活用できるでしょう。