『白チャート』は初学者・独学者・数学が苦手な人向けの網羅形参考書です。正式名称は『チャート式基礎と演習数学』ですが、チャート式の他の参考書(『黄チャート』、『青チャート』、『赤チャート』同様、色で呼ばれるのが通例なので、ここでも『白チャート』と呼ぶことにします。
学校の定期試験でなかなか点数が取れないという人や、基本事項を確認しながら先取り学習をしたいという人に適しています。ただ、数学が得意な人にとっては物足りない内容でしょうし、これ1冊で大学受験を乗り切るのは難しいでしょう。
内容
基本事項の解説や、定期試験レベルのための反復学習などに特化した参考書です。
各節の初めでは、基本事項や公式の一覧だけでなく、文章による導入や解法のポイントなどの丁寧な説明があります。学校で授業を聞いても理解できなかった人や独学者にとっては有難い存在となるでしょう。さらに定期試験対策用の問題を載せたページもあるので、数学が苦手な人は試験前にここをしっかりできるようにしておけば、悲惨な点数を取ることは回避できます。
学校では『白チャート』ではなく、『黄チャート』『青チャート』『赤チャート』『Focus Gold』のいずれかが配布される場合が多いようです。宿題は配布されたものから出されるでしょうし、例えば学校で『青チャート』が配布され、自分で『白チャート』を購入した場合に、2冊を最初から最後までやるのはあまり効率的な学習法とはいえません。数学が苦手な人は配布された参考書をメインに使いつつ。『白チャート』で導入部分の解説を読んだり、分からない問題を調べたりするというように使い分けるといいと思います。
大学入試という観点から考えると、多少網羅性に欠けるところがあるため、これ1冊で大学入試を乗り切ろうとするのは無謀です。また、同じような問題を反復学習することが多いので、(いかに反復学習が大切とはいえ)数学に苦手意識がない人は冗長な感じを受けるかもしれません。教科書~共通テストレベルまでとなっていますが、実際には共通テストレベルの一歩手前、入試基礎レベルまでと考えて利用した方が賢明でしょう。
ただ数Ⅲに関しては、教科書レベルと受験問題との間にある差がⅠAⅡBに比べて小さいため、『白チャート』から『1対1対応の演習』につなげ、さらに上級問題集へと進むことも可能です。
取り組む時期
数学に苦手意識を持っている人は学校の授業と並行して利用するといいでしょう。教科書を持っていない人や独学者が先取り学習として使うのも効果的です。
上述のように、これ1冊で受験を戦い抜くのは少々厳しいのではないかと思われます。数学に対する苦手意識がなくなってきた、あるいは導入部分が理解できた時点で上位の網羅形参考書に進むようにしましょう。